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第7回哲学カフェ 活動報告

2019年8月25日(日) @mametra

世話人:横田仁​、角田健太郎、川村凜太朗

進行:木田直人

 去る2019年8月25日、初の出張哲学カフェが行なわれました。聖蹟桜ヶ丘というおしゃれな街にある、おしゃれなmametraさんという古着屋さんでの開催です。いつものメンバーと構成が大きく異なります。といいますのは、今回はサイエンス・ライターの伊沢尚子さんのお呼びかけで集まったメンバーが3分の2ほどを占めており、桜ケ丘の旦那様、奥様、ご令嬢(?)、サラリーマン、定年退職後の皆さんと、文字通り老若男女で熱く語りあいました。首都大の学生たちも、いつもとは違った刺激をもらったのではないでしょうか。いつもよりも参加者の平均年齢はあがりましたが、議論はいつもに勝るとも劣らぬ活気があり、大盛況でした。テーマは次の三つです。

 

 ①浮気はダメか?

 ②なんで勉強しなくちゃいけないか?

 ③なぜ人を好きに(嫌いに)なるのか?

 

 ①は、街の哲学カフェならではのテーマです。浮気はやっぱりダメだろう、という落としどころが多くの参加者の所見でしたが、理由がなかなか見つけづらいという印象でした。「パートナーへの裏切りになるからダメだ」というわかりやすい理由にたいしては、「浮気をするのが生物としては自然で本来ダメではない、裏切りかどうかを決めているのは人為的制度なのだから制度を変更したらダメではなくなる」という制度論への発展がみられました。しかし、どんな制度であれ、やはり浮気に該当するカップルのルールは存在し、何が「本来」で「自然」なのかはわからないという洞察もあり、「本来の人間とは?」、「倫理は本能なのか?」という議論に進んでいるグループもありました。

 ②「なんで勉強しなくちゃいけないか?」は、現に大学で学んでいる学生、また、卒業後も学び続けている社会人にとってリアルな問題であったと思います。あるテーブルでは、年配の方がこのようにおっしゃっていました。「勉強しなくちゃというよりは、歳を取るごとに勉強したくなる。勉強が義務と思えた時代が懐かしい」と。不思議と皆さん、勉強は義務だという意識がないようでした。ただ一方で、直接役に立たなさそうな無駄な勉強と思われるものがやはり学習事項として存在し、それをどう捉えるかが問題になったようです。「巡り巡って役にたつ論」、「やっぱり無駄だからなくせ論」が対立していました。

 ③「なぜ人を好きに(嫌いに)なるのか?」とは、たしかに不思議に満ちています。自分にとっては苦手な人が、別の人とは馬が合うという現象はよく見られるからです。本能、相性といった答えがまずは上がり、さらに踏み込んで、好きになる相手は自分に安心・安堵をもたらす人ではないかという発言がありました。では、不安をもたらす人、脅威となる人は好きになれないものだろうか?という疑問の深まりがあり、自己に成長をもたらすなら、やはり好きになりうるのではないか、という意見も出ました。人間の欲求は多重構造をもっているということが明るみに出たのだと思います。

 ある参加者のアンケートです。「今の学生たちは自分の意見を持たない?いやいや、とんでもない。首都大の学生さんたち、とても積極的で、聴く姿勢も出来ていて素晴らしかったです」とのこと。うれしいご感想です。年齢も性別も関係なく相手を尊重する姿勢、これは哲学者の姿勢と言ってよいのではないでしょうか。当日はハグジーさんの激ウマドーナツもほおばりながら、そして終了後はお隣のキノコヤさんで二次・哲学カフェ(?)も堪能しました。ご計画いただいた伊沢さん、ありがとうございました。

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